シュルレアリスムは、100年程度前にフランスで興った、既成観念を打ち破って真実を表現しようとした芸術運動の一つです。
詩でいえば、意味不明の言葉を書き連ねて発信し、読み手の感覚へ訴えかけるもので、伝達の目的とか目標がはっきりせず曖昧模糊なので、評価を言語で表すことが困難です。
日本には自由連想を楽しむ俳句、水墨画、書の伝統があるので、今さらシュルレアリスムなどと仰々しく言わなくても、と思わないでもありませんが、フィリップ・スーポーの「他の場所で」という詩をご紹介しましょう。
この詩は、何回読んでも意味がわかりませんが、俳句を長くしたような印象があり、フランスらしいおしゃれ感と言葉の持つ美しさを感じさせるところがいいか、というのが感想です。
他の場所で~フィリップ・スーポー
いつも
海辺に
だれかが
みえる
街はいつまでも
あの星である。
窓ガラスごしに
地球は廻る
彼岸の友情
頭が廻る
腕さしのべる
風の牧場
流刑の樹々
だれも宵をみたものはいなかった