高野白山の九州易学開運学院

徒然の記

ユング心理学の危うさ

易やタロットがよく当たるのはなぜでしょうか。
単なる偶然ではなく、何らかの要因があるので的中するのだ、と考える時があります。

意味があると思われる偶然の一致をシンクロ二シティといいますが、シンクロ二シティという言葉を最初に使ったユング(AD1875年生まれ)は、精神病患者の妄想が、時代や地域や文化の差を超えて、世界各地に残る神話、伝説、昔話に驚くほど似ている事実に気づき、これは、人類に共通する無意識であると考え、この無意識を普遍的無意識あるいは集合的無意識と名付け、その存在を提唱しました。

さらに普遍的無意識の中にシンクロ二シティを起こすエネルギーとなる元型(げんけい)なるものを想定し、元型は、日常生活では明確に気づかない行動様式や生活習慣であると考えました。
人間は、程度の差があるものの、二重人格性を持っていますが、元型の例を挙げると、二重人格者におけるもう一つの裏の人格があります。
その特徴は、裏か表かでいえば、必ず裏の目立たない位置にあります。
他に元型の種類としては、女性が心の奥底に持つ男性性や父性性、男性が秘めている女性性や母性性などがあります。

ここで発想を転換して、元型の一つとして、日常から隠れている易経六十四卦の言葉やタロットの絵柄があると仮定すると、シンクロ二シティが起こるのは不思議ではなく、その発生を容易に説明できるものの、問題は、全人類に共通する普遍的無意識が存在するのか、という点にあります。
時代や地域に関係なく人間の妄想や幻覚が神話や伝説に似ているからといって、普遍的無意識へと飛躍しても、物理学と違って実験は困難であるため、その内容も結果もオーソライズされず、証明できないはずです。

普遍的無意識の存在については、精神世界を扱う占い師としては、あるかもしれないが、ないかもしれない、否定もできないが、肯定もできない、という真摯な態度を持たねばなりません。
普遍的無意識に至るプロセスは、説得力があるものの、思い込みの可能性も否定できず、一歩誤れば、カルトと見分けがつかなくなり、無用に人を惑わすおそれがあるからです。

TOPページ

ページの先頭へ