高野白山の九州易学開運学院

徒然の記

宇宙の様相

1 反物質の消滅
宇宙を理解するには、物質と反物質という二つの概念への認識が欠かせません。
原子を占有するエネルギーである電子がマイナス電荷を持っている状態を物質といい、電子がプラス電荷に帯電している場合を反物質と呼びます。
反物質は、宇宙創生時に発生したものの、物質と衝突した瞬間に消滅したといわれています。
宇宙は、陰陽で言えば、陽が欠けています。
反物質が宇宙に存在していない状態を「CP対称性の破れ」といいます。
対称性の内容であるCは、陰は陽の機能を持ち、陽は陰の役割を果たすことができるという相互変換性、Pは、陰は陽の姿を映し、陽は陰の姿を写すという相互鏡面性を指します。

2 因果律の不存在
日常生活は、入力(原因)があって特定状態が出現しそのあと出力(結果)になるという連続展開によって成り立っているのは間違いありません。
ところが、素粒子をみると、入力がなく出力しかないということがわかっています。
なぜ原因がないのに結果だけがあるのか誰にもわりませんが、確実にいえるのは素粒子は、偶然性だけを頼りに存在し、因果律の支配を受けていないということです。
なぜだかわからないが、ただそうなっているだけ、結果しか見当たらない非対称の状態を「対称性の自発的破れ」といいます。
1960年、南部陽一郎氏は、素粒子論に対称性の自発的破れという概念を導入し、重さが0に近い素粒子がなぜフラフラ動き出さないのか、動かないことこそ対称性の自発的破れがある証拠であり、宇宙のルールである、と見破りました。
上もなければ下もない、西もなければ東もない、悪もなければ善もないという非対称のアナーキーな世界を宇宙と呼びます。

3 宇宙の様相
CP対称性の破れと対称性の自発的破れという二つの理論から宇宙の姿を想像できます。
宇宙には、愛もなければ希望もなく、悲しみもなければ苦痛もない、ないない尽くし、その存在になんの意味もない、無機質の荒涼とした空間が続いています。
因果律の適用を受けず、対称性もないところに生命性があろうはずがありません。
爆発と集積を繰り返すだけの宇宙と交信するなどという妄想には、できの悪いSF小説を読んだあとのような後味の悪さが残ります。
宇宙を語るには、相対性理論や量子力学、素粒子論はもとよりその誕生の瞬間から消滅の未来に至るまで学ぶ必要がありそうです。

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