空と無は全く別の概念です。
空は、世界を関係性(仏教用語では縁起という)によって存在する現象として把握し、その真実性、普遍性を認めず、苦悩から解放されるため、古代インドの天才たちが発見した認識論です。
あると思えばある、ないと思えばない、というのではなく、世界は、現象としては確かにあるのだ、とみます。
ただし、眼に見えるものは、偶然の関係性をもとに生まれた現象にすぎないと考えます。
例えば、生命の誕生と消滅を例にすると、生も死も偶然の所産であると考えると説明に困ることはありません。
空の思想には、苦悩の原因であり、しかし仮の姿であり、偶然の関係性にすぎない現象に惑わされたり、悩まされたりすることなく、しっかり生きていくのだ、という応援メッセージが込められているのです。