高野白山の九州易学開運学院

徒然の記

易経の三大思想 その1 変化と循環

1 概説
易経を特徴づけているのは変化と循環、安定及び平和志向の三つの思想である。

2 変化と循環の思想
⑴ 概要
陰陽消長十二卦及び水火既済と火水未済の卦で表現されている変化と循環の思想は次の通りである。

⑵ 陰陽消長十二卦
いのち(命)は、発生、成熟、死滅、再生の営みを繰り返すが、これを象徴したのが易経六十四卦のうち下記の陰陽消長十二卦である。
易経は、天地の法則は陰と陽の絶え間ない循環と変化である、と考えているのである。
冬が去ると、春になる。陽気が増大し夏になると、次は秋が来て、また寒い冬になる。
自然の動きは、陰陽消長十二卦で説明するように地球上のルールなのである。

陰陽消長十二卦の流れ
坤為地(大地)➡地雷復(復活)➡地澤臨(希望)➡地天泰(安泰)➡ 雷天大壮(加速)➡澤天夬(決断)➡乾為天(栄華)➡天風姤(出会い)➡天山遯(引退)➡天地否(否定)➡風地観(観察)➡山地剝(崩壊)➡坤為地(大地)へ戻る

⑶ 大成卦のうち水火既済と火水未済
ア 水火既済
既済は、亨(とお)ること小なり。貞(ただ)しきに利ろし。初めは吉にして終りは乱る。
・解釈~既済は、小事は通る。ただしければよい。初めは吉で終わりは乱れる。

水火既済は、完成という意味である。初爻から上爻まで陰陽が交互に並び理想の形になっている。
終りは乱る、と書いているが、この意味は、完成したものが永続することはなく、やがて消滅し再生と循環を繰り返すことを暗示しているのである。
水火既済が易経の最後である64番目ではなく63番目にあるのは、これで終わったわけではない、宇宙は永遠に循環を続ける、という易経からのメッセージを形にして示しているのである。

イ 火水未済
未濟は、亨る。小狐汔(ほと)んど済(わた)らんとして、その尾を濡らす。利ろしき攸(ところ)なし。
・解釈~未濟は、通る。子狐が川を渡って尻尾を濡らす。いいことはない。

火水未済(びせい)は、未完成という意味である。
完成を意味する水火既済で全巻を終わらず、いまだ成らずという火水未済をあえて最後の64番目に置いて万物流転の様相を表したのは、易経作者の英知である。

TOPページ

ページの先頭へ