福岡市の中心部にあるなじみの喫茶店へ行く途中、ビル街の谷間にツツジとバラの花が咲いている一画があります。
ツツジは、その上に乗ってみたくなるほどびっしりと赤い花を咲かせ、街ゆく人々へ愛の喜び、というメッセージを発信しています。
バラも鮮やかな黄色い花で、愛と美の街を演出しています。
コンクリートに囲まれながらも、ほっと安心できる空間です。
物事には原因があるから結果があるのだ、という因果律の反対語を偶然性といいます。
偶然は、原因とは無関係に発生する現象でもあります。
世界は、偶然性ではなく、因果律で動いているというヒンズーや仏教の教えは、ほんとうでしょうか。
そこで、宇宙全体ではとりとめがないので、逆に焦点を絞って素粒子の世界に因果律の手がかりがあるのか探してみることにしましょう。
大きさ一万兆分の1cmの素粒子は、液体、固体、気体という概念に該当しない、微妙に揺れる波動ということがわかっています。
世界が素粒子で満ちているとすると、驚くことに世界の実体は、ただの波動の集合体ということになります。
ここでは、宇宙発生の原因など見あたらず、荒涼とした無機質の空間が広がっているだけです。
さらに原子核をみると、マイナス電気を持つ陽子と電気自体を帯びていない中性子から成り、したがって原子核には、中間子の接着機能があるにせよ、プラスとマイナスの対称性さえなく、ここにも因果律が入り込む余地はありません。
断定はできませんが、素粒子や原子核をみるかぎり因果律のサインも暗示もありません。
因果律といえば何となく納得して聞こえはいいのですが、根拠がみえないだけにむやみに思い込まないほうがよさそうです。
因果は巡る糸車、ではなく、過去、現在、未来を貫いて、発生も消滅も単なる偶然なのだ、とシンプルに考えたほうがいいかもしれません。
※因果律~原因が結果を生み、その結果が別の原因を呼び込むという、原因と結果に着目した認識方法
※偶然性~現象には原因がなく、結果は、時間と空間に無関係に発生する現象であるという見方