福岡市地下鉄の馬出九大病院前駅を降りて東に3分程度歩くと、国登録有形文化財の箱嶋家住宅があります。
箱嶋家住宅は、旧唐津街道に面して、間口が狭く奥行きがある昔ながらの町家です。
この住宅はベンガラ漆・水琴窟・荒神様・箱階段の屋内装飾の4つが揃っている江戸末期の風情がしのばれる、福岡市を代表する町家です。
2005年の福岡沖地震でも屋根の一部が壊れたものの、築140年の重みに耐え、全体は持ちこたえました。
警固公園(福岡市中央区)の西側真向かいに、病理学者である田原淳(たわら すなお 1873年~1952年)先生の住居址記念碑が建っています。
田原先生は明治36年、ドイツへ留学した際、心臓の筋肉を何千枚も薄片にし、顕微鏡で観察を行った結果、心臓の拍動を指令する電気信号を伝える筋肉を発見し、心臓収縮のメカニズムを解明しました。
この筋肉は、田原先生の功績を称えて田原結節と呼ばれています。
当時はなぜ心臓は拍動を続けることができるのかという問題について、神経由来説と筋肉原因説が対立し、100年以上論争が続いていましたが、田原結節により筋肉原因説の正しさが証明されました。
また田原結節の発見は、心電図検査法やペースメーカー開発のきっかけとなり、心臓病で苦しむ人々に大きな恩恵をもたらしました。
田原先生はドイツ帰朝後、37歳で九州大学医学部教授に就任し、その後帝国学士院恩賜賞を受賞するなど78歳で他界するまで栄光に包まれた生涯を送りました。
十干(じっかん)は五行から派生した概念であり、甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸の総称です。古代中国殷王朝(BC17 世紀)の時代に使われた、といいます。
十二支と同様草木(そうもく)の発生、繁茂、成熟、死滅の過程を十段階に区分し、説明したものです。今でも十干十二支としてなじみ深い暦注(れきちゅう)です。
それぞれの意味は次のようになります。
甲(きのえ)~よろいかぶと、という意味で、種子が厚い皮を被っている状態をいう。
乙(きのと)~きしむ、という意味で、幼い芽が伸びずに曲がっている状態である。
丙(ひのえ)~あきらか、という意味で、草木が充分に成長し、その姿がはっきりとした様子を表す。
丁(ひのと)~壮年の男子、という意味で、草木が成長し充実してきた様子を示す。
戊(つちのえ)~しげる、という意味で、草木が繁茂して大地を覆うほど盛大となった様である。
己(つちのと)~やむ、という意味で、草木の繁茂が極限となった様子である。
庚(かのえ)~あらたまる、という意味で、草木が実を結んで春の訪れを待っている状態である。
辛(かのと)~あたらしい、という意味で、草木が枯れ果て新しい芽吹きを準備している状態である。
壬(みずのえ)~はらむ、という意味で、種子の中に新しい生命がはらまれた状態を表す。
癸(みずのと)~はかる、という意味で、種子にはらまれた生命が長さを測れるほど伸びた
状態である。
春夏秋冬という四季の直前18日間は、大気変化の兆候がでるといわれ、この期間を土用(どよう)といいます。
木、火、土、金(ごん)、水の五行のうち、停滞と変化の作用が同時に起こるのが土の特性です。
土の作用と書いて土用といい、土用の習慣を調べると、陰暦で生活していた人は、停滞と変化、陰と陽の作用が同時に起こる「土」の怖さを意識していたことがわかります。
その意味 は?
土用は、年に4回、冬の土用、春の土用、夏の土用、秋の土用があり、新しい季節にむけて体力、抵抗力をつけるための注意喚起の期間でもあります。
土用を乗り切ってようやく新しい季節を迎えることができるのです。
その期間(令和元年)は?
1月17日(冬の土用入り) 2月3日(冬の土用明け) 立春~2月4日
4月17日(春の土用入り) 5月5日(春の土用明け) 立夏~5月6日
7月20日(夏の土用入り) 8月7日(夏の土用明け) 立秋~8月8日
10月21日(秋の土用入り) 11月7日(秋の土用明け) 立冬~11月8日
ねずみやうしなど動物に仮託しているためわかりにくいですが、十二支は、草木(そうもく)を例に挙げて、生命の発生、繁殖、成熟、死滅の過程を十二段階に区分し説明したものです。
十二支の意味は次の通りです。
1 子(ね)~ふえる、という意味で種子の中に生命が誕生した状態をいう。
2 丑(うし)~からむ、という意味で生命が種子の中で十分伸びていない状態である。
3 寅(とら)~うごく、という意味で草木が春の暖かさで地上に芽を出す様子を表す。
4 卯(う)~しげる、という意味で芽を出した草木が地面を覆う様子を示す。
5 辰(たつ)~ふるう、という意味で春の暖かさもたけなわ、草木の活力が盛んな様である。
6 巳(み)~やむ、という意味で草木の繁茂が極限となった様子である。
7 午(うま)~さからう、という意味で草木が繁殖の極限から衰微へ向かう状態である。
8 未(ひつじ) ~あじ、という意味で草木が成熟して滋味がつき始めた状態である。
9 申(さる)~うめく、という意味で成熟した草木の旨味が増し固定していく状態を表す。
10 酉(とり)~ちぢむ、という意味で草木が成熟の極限に到達した状態である。
11 戌(いぬ)~ほろぶ、という意味で草木が枯れ落ち死滅した状態を指す。
12 亥(い)~とざす、という意味で草木が凋落し生命力が種子に閉ざされた状態である。
黄河流域で生まれ、中国から直輸入した二十四節気を補助する意味で、日本列島の風土、生活習慣を表す特徴を暦に記入すると、格段に使い勝手が良くなります。
梅雨入りを知らせる入梅や嵐の到来を告げる二百十日などがありますが、これらの名称を雑節といい、日本独特の暦日です。
雑節(ざっせつ)は次の通りです。
節分(せつぶん)~立春の前日、季節を分ける日 太陽暦換算で2月3日頃
彼岸(ひがん)~先祖へ感謝する日。春分の日、秋分の日を中日として計7日間ずつ
社日(しゃにち)~産土神(うぶすながみ)へ感謝する日
八十八夜(はちじゅうはちや)~立春から数えて88日目、遅霜に注意
入梅(にゅうばい)~梅雨入り 太陽暦換算で6月11日頃
半夏生(はんげしょう)~梅雨明け、半夏という毒草が生える時期
土用(どよう)~立春、立夏、立秋、立冬の前日までそれぞれ18日~19日間、季節の変わり目を目前に体調管理をする期間
二百十日(にひゃくとうか)~立春から数えて210日目、台風への備え 太陽暦換算で9月1日頃
二百二十日(にひゃくはつか)~立春から数えて220日目、台風への備え