写真の遣唐使船は、鎌倉時代の絵巻物、宋や元の復元船を手がかりにして製作された模型です。船体内部は、壁式構造で強化していました。2本の帆と小さな網代帆(あじろほ)を張り、風が弱い時は、水夫は櫓棚に立ったまま櫓をこいで船を進めたと考えられています。
遣唐使船の規模は次のとおりです。
全長~30m
全幅~9m
排水量~300t
乗組員数~140人
遣唐使船は、江戸時代の和船でいえば、千五百石船に相当する巨大な船でしたが、人間の背骨にあたるキール(竜骨)がなく隔壁はあるものの波切装置を持たない、たらい船のようなもろい船体では東シナ海の荒波を突っ切れるはずもなく、西暦804年の第16次遣唐使では、4隻のうち行方不明2隻、中国大陸にたどり着いたのは、第1船(弘法大師座乗)と第2船(伝教大師座乗)だけでした。
その後遣唐使派遣の必要性がなくなったこともあり、日本国は日本文化のクセである鎖国体制に突入しました。
遣唐使船模型(福岡市博物館所蔵)