新約聖書の最後にあるヨハネ黙示録(もくしろく)の豊かな象徴性と暗号性、そして説得力ある深刻な虚構性には驚くほかなく、これでは異端の書とされていたのも無理はない、と思っています。
単なるフィクションや文学ではなく、隠し味として終末思想を盛り込みながらローマ帝国圧政下の信者にあてた、激励と危険を知らせる暗号の手紙とみていますが、今となっては、ヨハネとは誰のことなのか、目的の内容は何かという大事な部分がわからなくなっています。
新約聖書のうち、最も難解で最も面白いヨハネ黙示録を読むコツは、暗号がどこに隠されているかミステリーを解く気持ちになることですが、劇的なシーンをわかりやすく5回シリーズでご紹介していきましょう。
第4章の天上の礼拝は、怪物のような正体不明の生き物がクリエイター(神)をほめたたえる場面で、ヨハネ黙示録では、一番眼につくところですが、暗号性があるのかないのか不明、単なる賛美の言葉かもしれません。
天上の礼拝(第4章第6節~8節)
「この玉座の中央とその周りに四つの生き物がいたが、前にも後ろにも一面に目があった。第一の生き物は、獅子のようであり、第二の生き物は若い雄牛のようで、第三の生き物は人間のような顔を持ち、第四の生き物は空を飛ぶ鷲のようであった。この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その回りにも内側にも一面に目があった。彼らは、昼も夜も絶え間なく言い続けた。」
『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
全能者である神、主、
かっておられ、今おられ、やがて来られる方。』(新約聖書 新共同訳)