歴史小説を読むと、登場人物に官位と官職がついているため混乱することがあります。
官位と官職の違いは、官位は、人間の身分、官職は、仕事上のポストを表します。
その昔、源平合戦のさきがけとなった源三位頼政(げんさんみよりまさ)という源氏の一族がいましたが、この人は身分としては武家でありながら高位の三位(さんみ)だったことがわかります。
臨時の官職である征夷大将軍は、当初は大納言クラスで、正三位相当職でした。
朝廷の官職を現代風ポストに引きなおすと、概ね以下のようになります。
忠臣蔵で有名な浅野長矩~内匠頭(たくみのかみ)→用度部長
肥後の加藤清正~主計頭(かずえのかみ)→税務部長
彦根の井伊直弼~掃部頭(かもんのかみ)→環境保全部長
近江の石田三成~治部少輔(じぶのしょうゆう)→総務部長
長州の毛利隆元~大膳大夫(だいぜんだいぶ)→料理長
佐倉の土井利勝~大炊頭(おおいのかみ)→配膳部長
官位としては正五位上から従五位下に相当しますが、大名であっても公家に比較して官位、官職が低かったことがわかります。
何やら仰々しい官職名も実は朝廷における業務を示すだけでどうということはなく、これらを頭に入れておくと歴史小説が読みやすくなります。