人形町(東京都中央区)は、江戸時代の1600年代、歌舞伎、人形浄瑠璃の芝居小屋や曲芸をはじめとする見世物小屋が立ち並ぶ大歓楽街でした。
特に、人形浄瑠璃は、人間の情念と業(ごう)を高らかに謳い上げるため人気があり、人形師や人形遣いもここに住みつき、街の名称を人形町と呼ぶようになったそうです。
2009年11月に当時を偲ぶからくり櫓(やぐら)が建てられました。
定時になると動き出すからくり人形を見ていると、いまだにアミューズメント性の強い街の名残りを想うことができます。
「易の効用」(高木彬光著)はプロ向きの解説書で、易経の意味を解いた高木彬光氏の学識は並たいていのものではありません。
その学術的価値は、丸山松幸先生の「易経 中国の思想 Ⅶ」に匹敵するといってもいいでしょう。
※抜粋
「人生の幸福は、情熱の中にある。これは、運命学の研究を続けること二十年にしてようやく私の到達できた信念である」
「この要素は、『勢い』を利用するという一言に尽きるのである」
「それでは、勢いというものは、どのようにして悟るべきだろうか?」
「『易経』という聖典は、人生の勢いを教えてくれる人間最高の智恵の結晶である」
「このような情熱と勢いの相互関係を、易経の中に求めて行ったときに、『出処進退』という言葉があらわれて来る。出処という二字は出るか居るか、積極的に行動するか、黙って行動に出るのを見送り、静かに事態を見守るか、この二つの態度をいいあらわしたものである」
明治17年(1884年)に浅草公園が7区画に分けられたことで浅草公園六区という地域が浅草寺(せんそうじ)の西側一帯に誕生しました。
通称浅草六区といいます。
浅草オペラで有名な常盤座が明治19年に開場し、7年後には日本初の活動写真(無声映画)を見せた電気館がオープンしました。
その後、次々と建てられた劇場、映画館、寄席で芝居、落語、浪曲、オペラ、レビューなどが上演され、浅草六区は日本一の興行街へ成長しました。
喜劇の榎本健一や古川ロッパ、渥美清、コント55号、ビートたけしら多くのスターを生み出したものの、平成24年には最後の映画館も閉館し、今では浅草演芸ホールと東洋館(旧フランス座)ほか二、三の劇場が残っています。
10年前までは、朝から吹きっさらしのテーブルで酒盛りをしている正体不明のおじさんや浅草でしか見られない、真っ黒で年季の入った乞食(こじき)があちこちにたむろするような危うい街のミステリアスな不思議さがありましたが、再開発が完了した現在、面白くもおかしくもないただのストリートが広がっています。
高木彬光(たかぎあきみつ)氏は、1920年生まれ、推理小説家として「白昼の死角」や「刺青殺人事件」というミステリアスな作品で知られています。
易や九星気学に造詣の深い同氏の著書から抜粋してシリーズでご紹介しましょう。
「占い人生論」(高木彬光著)は、占いの意義について語った初心者向きの指南書ですが、読者は、自分の人生についてもドキュメンタリーを読むような未知の世界が広がっていくのを実感するでしょう。
※抜粋
「運命学は、決してメイファーズというあきらめの心境を教える学問ではない。人間に一倍の努力を要求し、ただその努力を、どういう方向に向けたら、最大の効率をあげられるかを教える学問なのである」
「占いの名人にめぐり会えるかどうかには、その人の運が関係している」
「ただそれほどの大名人なら、ほんとうに開運を求める相手に対しては、その本人が持っている力と運とを、ぎりぎりのところまでひき出し、それを最も効率的に発揮できるような方法を教えてくれるものなのだ。
占いというものは、ここまでくると、ただのあてものという行為からはなれて、進んで人生の幸福を獲得する道に直結して来る」
易占いの方法は、筮竹のほか、コインを使う擲銭法(てきせんほう)、サイコロ法、 カード法及び易占用具を使わない無筮立卦法(むぜいりっかほう)があります。
⑴ 筮竹
筮竹(竹ひご)を使って占う方法であり、最もオーソドックスです。
⑵ 擲銭法(てきせんほう)
擲銭法は、コインを投げて占う方法です。
10円玉と100円玉を使用し、表裏により陰陽を決めた後、八卦を当てはめ、卦と爻を出します。100円玉も10円玉も「日本国」と書いている面が表(陽)です。100円玉の位置を爻とします。
⑶ サイコロ法
サイコロ法は、サイコロを使って占う方法です。
黒の八卦を上に、赤の八卦を下に揃えて六十四卦を読み取ります。 一度投げただけで簡単に爻までわかるので使い勝手の良い占法です。
⑷ カード法
カード法は、数字を書いたカードを使って占う方法です。
1から8の数字を書いた8枚のカードを混ぜ合わせ、無作為に1枚引き抜きます。最初に引き抜いた数字を下卦(かか)とします。
もう一度、同じ動作を繰り返して、次の数字を上卦(じょうか)とします。次に1から6までの数字を書いたカードから1枚を引き抜き、その数字が爻です。
⑸ 無筮立卦法(むぜいりっかほう)
無筮立卦法は、占い用具を使わず、まわりにある任意の数字を選び八卦を決める手法です。
卦辞は、時期の適否を教える六十四卦それぞれの説明文で、爻辞は、具体的な指針を教えます。
六十四卦にそれぞれ六つの爻辞がついているので、全部で三百八十四種類の局面を知ることができます。
卦辞が吉、爻辞が凶、逆に卦辞が凶、爻辞が吉の場合、単に卦と爻の優先順位を論じるのではなく、またどちらを選択するかという問題でもなく、テーマに応じて時期の適否ならびに実行の吉凶について検証していく姿勢が大事です。
各時代、各地域によって最も大切にしなければならない徳目や価値が異なるのは当然ですが、次のように整理していくと改めてその違いの大きさに驚くほかありません。
知らず知らずのうちに儒教の影響を受けている日本人は、何より人を思いやる仁の気持ちを優先しますが、古代ギリシャ人は智恵、聖徳太子は和、クリスチャンは神からの愛に価値をおいています。
・儒教の徳目~仁(思いやりの心)、義(正義)、礼(礼節)、智(智恵)、信(信頼)
・ギリシャ思想(プラトン)の徳目~智恵、勇気、節制、正義
・聖徳太子の徳目~和(コンセンサス、調和)、三宝(仏・法・僧)、詔(みことのり~天皇の命令)
・キリスト教の徳目~神の愛、希望、信仰