阿波十郎兵衛屋敷は、人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」に登場する板東十郎兵衛の屋敷跡ですが、現在は、記念館として展示だけではなく、舞台実演が毎日おこなわれています。
「傾城阿波の鳴門」では、欲に目がくらんで実の娘とは知らず巡礼を殺して金品を強奪する板東十郎兵衛は、史実では阿波藩の悪事を一身に背負って処刑された忠義に厚い武士でした。
人形浄瑠璃を見ると、人間の情念、人生の因果をテーマにした真実性の荘厳さに心をうたれますが、これが歌舞伎になると、なぜかわかりませんが、炭酸の入っていないサイダーのように間が抜けたようになります。
十郎兵衛屋敷の舞台では、悲しみや喜びの所作を表現する操作法も見学でき、奥深い人形劇の世界に親しむことができます。